EC企業におけるデータ活用の基礎

 少し今までと毛並みにを変えて、EC企業におけるデータ活用を例を交えて、ご紹介させて頂きます!この記事だけで概要レベルで書こうと思ってますが、詳細には書けないので、気になる部分やご要望はコメントもください!

目次

そもそもECとは?

 そんなにわからない人もいないと思いますが、ECは"electronic commerce"を表し、日本語では電子商取引と言います。具体的には、インターネット上で、Webサイトを立ち上げたり、アプリ等によりオンラインでの商品の売買をすることを指します。Amazon楽天などを思い浮かべてもらうと分かりやすいかと思いますが、まさに彼らがやっていることがECになります。
 ちなみに、ECってどの程度の市場規模なのかというのも、なんだかんだで調べたことも少ないのではないかと思いますが、経済産業省が公表しているレポートによると、2021年の日本国内でのBtoCの市場規模が20.7兆円で、2020年に比べても7.35%程度成長しているような規模の市場となっております。ちなみに、2021 年の BtoBの市場規模は、372.7兆円と実はECよりも圧倒的にでかい市場となっていることも覚えておいてください。*1
 今回は、ECに関しては、店舗を持たずサイト上で完結するビジネスを対象に「どのようなデータ取れるのか?」、「エンドユーザーはどのような状態遷移するのか?」といったような疑問を解消できるような内容を以下でご紹介できればと思います。

ECサイトで取得出来るデータ

 「ECサイトを運営する企業で、どんなデータを取得しているのでしょうか?」という問いに答えていきたいと思いますが、答える上で非常に重要となるのは、エンドユーザーの動きになります。

 皆さんが例えばアパレルのECサイトを利用する際にはどのような行動をするのでしょうか?

 少し想像してみて頂きたいですが、SNSなどに表示される広告などを通してサイトに流入し、そのあとサイトを色々見回って、欲しいものがあればカートに入れ、会員登録をした上で購入に至るという感じではないでしょうか。

 では、サイトを運営する企業はこの一覧の流れの中で、どのような情報を取得できるのでしょうか?

 この問いに対する回答を考える上で、行動を一つ一つ分解して考えてみると良いかと思います。そして、行動を分解する上で、絵に落として書いてみることを意識してみてください。文字で覚えても良いですが、絵で描ける方が記憶には残りやすい気が個人的にはします。

エンドユーザーの動き

 この図においてデータが取れそうな部分はどこでしょうか?

 結論から言うと、全てのステップでデータを取得することが出来、最初のステップから記載すると、自社で出稿している広告情報(①)、サイトのアクセスログ情報(②)、商品情報(③)、カート投入情報(④)、会員情報(⑤)、購入情報といった情報がこのデータの中だけでも想像できるのはないでしょうか。他にも、クーポンを配信していればクーポン情報などいった情報も企業によっては取得しておりますが、多くの企業で先ほど挙げた情報を保持していることが多いです。購入情報に関しては、実際には受注単位(1回1回の購入の単位)の受注情報(⑥)と明細単位(1回の購入でどの商品を買ったかまで管理する単位)の受注明細情報(⑦)があります。EC以外にも多くのビジネスがありますが、同じようにして、エンドユーザーの行動をしっかりと考えることが出来ればどのような情報が取得できるか、分かるようになるかと思いますし、各プロセスにおいてどのような項目を取得できるかも想像できるようになるかと思います。ECで取得できるデータに関しては、一例ですが以前紹介した「データベースとは? - デジタル社会を泳ぐイルカ」という記事に載っているような項目が値として取得できます。これも会員登録時に色んな情報をフォーム上で入力すると思いますが、その際に入力する項目がそのまま会員情報の項目として保持されいたり、何か商品を購入する際には誰がいつどの商品をいくらで買ったのかという情報が受注情報や受注明細情報に保持されていることが多いです。

 そのため、まずは「ECサイトで取得出来るデータ」というのは、以下の2点をしっかりと抑えておいていただければと思います。
 

  1. 取得できるデータを考える時には、エンドユーザーの行動ベースで考えること
    • 特にECでは、広告情報(①)、アクセスログ情報(②)、商品情報(③)、カート投入情報(④)、会員情報(⑤)、受注情報(⑥)、受注明細情報(⑦)の7つがほとんどのECサイトで取得できる
  2. 取得できる項目を考える時には、各データの取得時にユーザーが入力している情報や、サイトやブラウザから取得出来る情報を考えること
    • 特に会員情報では、会員登録時に入力する、「氏名」、「メールアドレス」、「電話番号」、「住所」、「性別」、「生年月日」といった項目を取得できる

EC企業におけるエンドユーザーの状態遷移

 次にどのようなデータをサイト流入後に取得できるかをここまでで理解できたと思いますが、この後は取得したデータを利用してどのように顧客状態を把握できるのか、お話ししていきたいと思います。ただ、状態遷移というと「AIDMA」や「AISAS」などといったキーワードを思い浮かべる方もいらっしゃるかと思いますが、今回はあくまでもサイト流入後の会員登録からN回目の購入までにスコープを絞ってお話しできればと思います。*2イメージをまた下に図として共有します。

ECにおけるユーザーの状態遷移

 この図において、難しい内容自体は特にないかと思いますが、エンドユーザーがリピート購入をするということは、最初に会員登録をして、初回購入をして、2回目購入、3回目購入と遷移していくということをまずはちゃんと分解するようにしてください。そして、先ほど挙げたように会員情報や購入情報を利用すれば、各ステップにおいて、どの程度のエンドユーザーが存在するかを算出することが可能となります。そのため、図にも記載したような会員登録数、初回購入数、2回目購入数、3回目購入数といった値を算出し、どこでエンドユーザーが落ちているのかを可視化することが非常に重要となります。特にデジタルマーケティングにおいては、この各数値の減少率を歩留まりと言ったりもしますが、このような数値の可視化と改善を繰り替えることが非常に重要と言われております。

さいごに

 今回、EC企業におけるデータ活用の基本ということで、本当に導入部分ですが、「どのようなデータを持っているか」、「エンドユーザーの状態遷移はどのように可視化するか」といった部分をご紹介していきました。特にEC企業でお勤めされているマーケターの方々やEC企業をクライアントに持つデータマーケティングの支援をされる方々にとっては本当に基礎中の基礎になるかもしれませんが、初学者にとっては非常に重要な感覚をお伝え出来る内容かと思いますので、参考にしてみてください。そして、取得したデータを使って、可視化する部分は以前にご紹介しているSQLを利用して算出することになることも覚えておいていただければと思います。*3*4*5*6
 また、他の業界におけるデータ活用の基礎部分などもご紹介できればと思います!