問題発見とは何か?

 今日は、以前紹介したロジカルシンキングに関して、少し関連記事をご紹介できればと思っております。正直、自分自身も学生時代にロジカルシンキングの本は結構読んだ自信がありましたが、問題解決に関する本ばかりで、問題発見の重要性があまり理解できておりませんでした。もっと言うと、まだまだ理解できていない部分もありますが、最近になって初めてこういうことかと思うことが有ったレベルであんまり理解できていなかった自身もあります。笑
 ただ一方で、「問題発見」というのは仕事をする上でも、就活や転職の上でも非常に重要な考え方なのでしっかりと是非、問題発見に拘るきっかけになれればと思います。
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 ちなみに、この記事ではかなり『問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」』を参考にしているので、詳細はそちらも見てみてください!

目次

問題発見と問題解決の関係

 そもそも、「問題発見」と「問題解決」とはどのような立ち位置なのかをしっかりと理解しておきたいと思います。
 巷にあふれる問題解決の本は「問題解決」に焦点を当てているものが正直多いと思いますので、「問題解決」とは何かと言われればイメージがつくかと思っております。一方で「問題発見」というのは正直何なんだと言われれば、あまりイメージがない人もいると思いますし、今から図で説明するものに対しても、まぁよく言われるものだなと思う方も多いと思います。実際、自分自身もそうだったので、そう思うのは健全な気もします。笑
 「問題発見」にも、「問題解決」にも共通する「問題」というものをまずは定義していきます。まず、「問題」とは、『「あるべき」と「現状」の「ギャップ」』となります。具体的なイメージとしては以下のようなものです。(この図はよく見る気がします笑)

問題とは?

 そして、この「問題」を見つけることが、「問題発見」となります。また、この「問題」を解決することにより「現状」を「あるべき」に近づけることを「問題解決」と言います。ここまでは色んな本にも書いてありますが、本当に重要なので、図と一緒に覚えておいてください。さらに言うと前回の記事(仕事におけるロジカルシンキングの力の付け方 - デジタル社会を泳ぐイルカ)も元に、以下のようなイメージで、「問題」とその「問題」を解決する上でのサブイシューを定めるイメージも是非併せて覚えておいてください。

問題解決のイメージ

 ということで、ここまでで「あるべき」を定め、「現状」と「あるべき」のギャップを見つけることを「問題発見」と言い、その差分を「問題」、そのギャップを埋めることを「問題解決」ということを紹介していきました。もっと言うと、「問題」をさらに分解して、「サブイシュー」を見つけていくイメージまでご紹介していきました。ただ、ここまで見ても、正直当たり前のことを言われていて、何が難しいのかがあまり分からないのも事実かと思います。
 では、この問題発見において、何が難しいのでしょうか?それを次にご紹介していきます。

問題発見において難しいこと

 「あるべき」を決めて、「現状」とのギャップを見つけ出すことを「問題発見」というのであれば、「問題発見」は正直そんなに難しくないように見えます。
 例えば、「慶應義塾大学の理工学部に合格する」という「あるべき」を定めたとします。もう少し具体的に言うと、「2024年2月24日までに慶應義塾大学理工学部に合格するために必要な偏差値65を達成する」という「あるべき」を定めたとしましょう。そして、「現状」としては、「2023年1月31日段階では、偏差値55である」とします。そうすると、「問題」というのは「あるべき」と「現状」の差分である「偏差値を10上げることができるのか?」というものとなります。そうすると、「偏差値を10上げることが出来るのか?」という「問題」を解決するために、数学や英語、物理、化学のそれぞれの偏差値に分解した上でそれぞれにおける対策を考えるというようにサブイシューを定め、サブイシューを解決することに注力するようになります。
 こんな感じで、大学受験などであれば明確な目標や現状を数値で把握することが出来るので、少し分かりやすい気もします。ただ一方で、上の例の中でも少し感じたかもしれませんが、『「あるべき」が少しふわっとしていないか?』や『「現状」って正しいのか?』みたいな疑問も発生します。まさにこの疑問が「問題発見」における難しさです。
 纏めるために、少しだけ『問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」』を引用しますが、「問題発見」における難しさは以下のようなものがあります。

  1. 問題を定義する前提の「あるべき」が描けていない
    • A 「あるべき」がそもそもイメージできない
    • B イメージした「あるべき」が間違っている
  2. 「現状」の認識や分析がWILL×SKILLの低さにより出来ない
  3. 「ギャップ」の構造を解明して、問題の本質を具体化・優先順位付けが出来ない
  4. 実行可能な「解決策」からの逆算で短絡的に問題をとらえてしまい、本質を見抜けていない

 凄く自分なりの言葉にしますが、『「あるべき」と「現状」のギャップが「問題」である』にも関わらず、『「あるべき」が定められない』、『現状が把握できない』、『ギャップが何かを言語化出来ない』、『一旦形から入ってみる』といったことが原因で、「問題発見」が上手くできないのです。

個人的に「問題発見」が難しかった理由

自分自身がずっと「問題発見」が難しい理由をわからなかったのは、実は多くの世の中の「問題」は「問題」として既に存在していると考えていたからです。つまり、「問題」は既に存在しているからそれを発見し、解決することが大事で、「問題発見」は世の中にある「問題」を如何に検知できるかだと思っていたからです。
 一方でそれは違う気がしているのが、今日この頃です。
 なぜ違うかというと、『実は世の中に「あるべき」というのが一定は確かに存在するが、意外と個人個人のWILL(意思)の集まりによって「あるべき」が定められているのではないか』と思っているからです。要は、人のWILLがないと「あるべき」が定まらず、「問題」なんてそもそも発見できないことが多いのです。
 いつこれを感じたかというと、自分自身の就活を振り返ったり、色んな人の働く理由を聞いた時でした。自分自身が何に対して「問題」を感じていて、その「問題」をどう解決するべきなのかを就活などで考えるかと思っております。つまり、『将来何をしたいのか?そして、それに対してなぜこの会社なのか』というのを考えると思います。自分自身としては、当時何をしたいかさえ決めてしまえば正直就活は難しいものではないと思っておりましたが、そもそも『何をしたいかを決めることが一番大変で、それを考える際に自分のWILLを持つ必要があったな』と感じ、これがまさに「あるべき」を定めることなんだなと感じました。
 そして、それと同じように、企業の「あるべき」(=ミッション等)の設定、事業部ごとの「あるべき」(=KGI等)の設定、それを更に落としたチームごとの「あるべき」(=KPI等)の設定、目の前のタスクの「あるべき」の設定がありますが、正直全てWILLが介在するものだなと強く感じます。企業の「あるべき」であれば、それは創業者やCEOが考える社会の「あるべき」であり、事業部ごとの「あるべき」であれば、それはその会社のミッションを実現するために自分たちはこうするべきだという事業部長の考える事業の「あるべき」であり、チームごとの「あるべき」も同じく、チームリーダーが考える事業の目標を達成するために必要な「あるべき」、目の前のタスクでも自分がどう着地させたいかという「あるべき」が非常に重要となります。
 だからこそ、「問題発見」において自分自身のWILLを如何に持てるかや、相談をもらった相手のWILLを如何に引き出せるかが非常に大事になります。そして、これが「問題発見」をする上での本当の難しさだと思います。

さいごに

 今回はここまでとします。
 かく言う自分自身もそうですが、本当に多くのビジネスマンがWILLも持たずに仕事をしてしまっているなと感じてしまいます。そして、WILLを持つ人間が人をリードする立場になり、給料という面でも豊かになっていきます。これはしょうがないですが事実です。もっと言うと、chatGPTのようなAIがさらに発展していくと本当にWILLのない人間の仕事はなくなってしまいます。だからこそ、「問題発見」の観点を最初に理解するところから始め、その上で自分自身がWILLをもって仕事を出来るようになるといいなと思います。