仕事におけるロジカルシンキングの力の付け方

 今回は、よく学生時代や上司からロジカルシンキングが大事だと言われることがありながらも、実際にいつ大事になるのかあまりイメージがついていない方々向けに記事を書きたいと思います。
目次

仕事の中でよくあるシチュエーションと「論点」の紹介

 多くの方々が仕事をする中で、以下のような指摘を受け取ったことはないでしょうか?
 「何を言っているのか、分からない。」
 「要するに何を言いたいの?」
 更には、こういった指摘を言われる際に、何か返答を返すと思いますが、それに対しても上のような指摘をもらったりすることもあるでしょう。もっと言うと、多くのビジネスのシチュエーションにおいて、上記のような疑問を相手が持った際に何も言わずに取引が成り立たなかったり、クレームをもらうこともあります。そして、こういったケースで何を考えられていないかというと、「論点」になります。そもそも色んなビジネス書などでも書かれている「論点」をあまり分からない人も多いかと思います。かく言う自分自身も社会人になって間もないころはあんまり分からなかったのも事実です。ただ、色んなシチュエーションの中で感じたことや書籍の中にも書いてあることから、「論点」とは、課題を解消するために答えるべき問いだということを覚えておいてほしいと思います。
 例えば、自分が一営業担当として、受注を追ってクライアントとコミュニケーションをとっているとすれば、「お客様が提案内容をやりたいのになぜ発注をしないのか?」というものが「論点」になることもあれば、「費用自体は問題ないが、GOを出せないのはなぜか?」といったものが「論点」となります。そして、その「論点」も高校入試や大学入試の数学の問題のように「大問」と「小問」があるのだということも覚えておいてください。そのため、「論点」とは何か分からないという方々は、高校入試や大学入試の数学の問題を思い出してください。先ほど挙げた「お客様が提案内容をやりたいのになぜ発注をしないのか?」という「大問」があったときに、直接的にこの問いを回答できるのであれば何も問題ないですが、直接的に回答できないのであれば「小問」を設定する必要が出てきます。この「大問」から「小問」を考えていく過程はいわゆるロジカルシンキングでよく出ているイシューツリーと呼ばれるものを考える過程と同じになります。ちなみに、「イシュー」は「論点」と同義なので覚えておいてください。そして、少しこの後の内容を分かりやすくするために、「大問」を表す「論点」は「メインイシュー」、「小問」を表す「論点」は「サブイシュー」という名称で記載していきます。
 それゆえ、ビジネスをする中で解決するべき課題を「メインイシュー」とし、その「メインイシュー」を分解して「サブイシュー」を設定し、解決していくことがビジネスにおいて非常に重要となり、面接等でもロジカルシンキングが出来るかどうかを面接官が見ていたりします。特に、「メインイシュー」を分解して、解決するべきだと設定した「サブイシュー」は考えうる最も細かい粒度であるyes/noで回答できるようなものとし、本当に解決するべき「サブイシュー」は何かをはっきり出来ることがビジネスの課題解決の中では重要となります。ちなみに、そういった意味では、最終的にはチェックシートレベルまで「サブイシュー」を分解し、一つ一つの「サブイシュー」にチェックを入れていく感じで課題解決を進めていけると良いと思います。

「メインイシュー」の設定と「サブイシュー」の設定のイメージ

 先ほど少し上げた数学の例でまずは考えてみましょう。よく中学生から高校生になって数学の授業を受ける時に、問題を解く上で場合分けをしないといけないということで躓いてしまった人も多かったのではないでしょうか。
 よくある例として、「方程式 \displaystyle ax^2+bx+c > 0を満たす xを求めよ。」という問題で考えてみましょう。(数学が苦手という方でも、中学生レベルまでのものなので一旦一通り見てみてください。。。笑)
 この「方程式 \displaystyle ax^2+bx+c > 0を満たす xは何か」というものが「メインイシュー」となり、「サブイシュー」が必要であれば考えていく必要が有ります。多くの課題解決でも同じですが、いきなり問題を解こうと「サブイシュー」を設定しようとしてもイメージが湧かないことも多いと思うため、実際にはいくつかのパターンを具体的に考えてみたりすると良いと思います。そのため、今回のケースであれば、2次方程式であれば解の公式を使えばいいとか、 a=0であれば1次方程式を考えればいいのかとか、 a=0, b=0, c=5であれば xは何でもいいなとかです。なんとなく、何パターンか考えてみると、 a, b, cの値により場合分けをしないといけないなとかがわかってきます。その場合分けが「サブイシュー」を作っていくことになります。今回のケースであれば、「方程式 \displaystyle ax^2+bx+c > 0を満たす xは何か」という「メインイシュー」に対して、「 a>0の時にはどうなるのか?」、「 a<0の時にはどうなるのか?」、「 a=0, b\neq0の時にはどうなるのか?」、「 a=0, b=0の時にはどうなるのか?」という「サブイシュー」に分けて考えれば回答が出来るかと思います。特にこの場合分けの時にあんまり意識しなかったと思いますが、この場合分けのパターンは、「漏れなくダブりなく」という、所謂MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive、ミーシーと言われる)を満たすように場合分けをしております。つまり、問題解決の本などで良く書かれているMECEの概念自体は高校数学等で習うものと同じであるということを覚えておけると良いと思います。
 数学の問題で考えましたが、ビジネスで考えるならば、BIツール*1でレポートを作成した際に数値が合わないとなったときにも「なぜBIツールで作成したレポートは手元のExcelのレポートと数値が合わないのか?」という「メインイシュー」を設定し、その上で「サブイシュー」として、「①BIツールに取り入れているデータが手元のデータと異なっているのか?」、「②BIツールに取り入れているデータは手元のものと同じだが、集計の仕方が異なるのか?」、「③そもそも手元の集計が異なるのか?」のようなものを設定していくことになります。ちなみに、「サブイシュー」はさらに「サブイシュー」を設定する必要が有れば設定をするべきのため、2つ目のサブイシュー「②BIツールに取り入れているデータは手元のものと同じだが、集計の仕方が異なるのか?」であればさらに分解しても良いかと思います。そしたら、各「サブイシュー」の解を出していき、「メインイシュー」に回答していく必要が有ります。例えば、今回の「メインイシュー」は「③そもそも手元の集計が異なるのか?」が原因だと分かりましたとなれば、次に「手元の集計を直すべきか、BIツールに統一するべきか?」というように次の「メインイシュー」を設定し、回答していくという形で仕事を進めていけると良いかと思います。

「論点」の設定時に何に躓いてしまうのか?レベルアップのためには?

 ここはあんまり長くは書かないですが、一番躓いてしまうのは、「分解したサブイシューが合っているか分からないから分解に手を付けられない」という部分じゃないかと感じます。ただこれも2段階あり、「A.サブイシューをそもそもスキルレベル・知識レベル的に分解出来ないから手を付けられないのか」、それとも「B.サブイシューの分解はある程度なら出来るが、合っているか不安だから手を付けられないのか」というものがあります。
 そして、それぞれのケースで対応策は異なります。Aの中でスキルというのはロジカルシンキングの力を想定しているので、スキルレベルが他有ないということであれば、上記で記載したような色んな課題に対して、しっかりと「メインイシュー」と「サブイシュー」を考える癖をつけてケースを多く経験することが重要となります。逆に知識レベルであれば、自分が「メインイシュー」として設定しているものに関連した内容に詳しい人間に意見を聞いたり、書籍や出版物を参考にするということが必要になります。一方で、Bが課題であるならば、「サブイシュー」への分解が終わっているので、Input Process Outputに分解して漏れはないのかやフレームワーク(3Cや4Pといったマーケティングフレームワーク等)を元に抜け漏れがないかを確認してみると良いと思います。そして、一朝一夕で力がつくものでもないので何度もこの思考を繰り返すことが出来るのかという部分が一番力をつける上では重要となります。

さいごに

 今回は、今までと少しテイストを変えてロジカルシンキングに関しての記事を作りましたが、他にも思いついたものがあれば別途記載してみます!

*1:企業内で保持している様々なデータを加工・集計し、ビジネスジャッジのために必要な数値を可視化するソフトウェアの総称