配信ツールにおける配信の仕組み

 この記事は、かなり簡単に配信ツールにおける配信の概念図を理解してもらうための記事として書いていきます。世の中には、色んなデジタルマーケティングのツールがあり、その中でMail配信やブラウザアプリPush配信、モバイルアプリPush配信、SMS配信、LINE配信が出来る様々なツールが登場してきております。では、それぞれの配信ツールではどのような仕組みで配信が実現されているのかという部分をご紹介していければと思います。

目次

マーケティングにおけるPush型とPull型のアプローチ

 まず大前提として、配信ツールとはマーケティングにおいてどのような役割を担っているのかをご紹介していきます。その上で重要になるものが、Push型の顧客へのアプローチとPull型の顧客へのアプローチとなります。
 「Push型の顧客へのアプローチとは、企業側が見込み顧客に対して能動的にアプローチする方法」となっており、その一方で、「Pull型の顧客へのアプローチとは、企業側が見込み顧客に対して受動的にアプローチする方法」となっております。具体的なイメージで行くと、Push型はメール配信やSMS配信、電話営業、訪問営業等の企業側が能動的にエンドユーザーにアプローチしていくもので、Pull型はサイト上のポップアップ表示やWeb広告、twitterfacebookといったSNSによる投稿、、テレビ広告等といった企業型は能動的にエンドユーザーにはアプローチせず、反対にエンドユーザー側が能動的に広告などを閲覧したり、クリックするといったアクションが必要となります。ちなみに、各アプローチする方法のことをチャネルと言ったりもするので合わせて覚えておいてください。
 そして、今回はPush型のアプローチ、その中でも特に最初に挙げたMail配信やブラウザアプリPush配信、モバイルアプリPush配信、SMS配信、LINE配信に焦点を当てて、その仕組みの話をしたいなと思っております。とはいえ、よく全てを別々に考えてしまって混乱する方も、色んなプロジェクトを通して非常に多いと感じているため、まずは大枠の概念を正しく理解してもらいたいなと思います。

Push型のアプローチ(配信系)の基本的な仕組み

 ほぼ全ての配信系のツールにおいて、以下の概念が成り立っているかと思いますので、原則はこの図だと覚えておいてください。

配信の基本的な仕組み

 この図で少しだけ補足すると、図中の配信ツールというものが世の中に多く存在するデジタルマーケティングの配信ツールとなり、その次にある配信サーバーは実際に配信をするためのサーバー機能を持つサービスとなり、最終的にエンドユーザーにメッセージが届けられます。そして、多くの配信ツールではよく勘違いされがちですが、実際に配信しているサーバー機能を外部に委託していたりします。これはなぜかというと配信ツール側のコストの問題もあり、メール配信サーバーを自社で開発するという方針をとってもいいですが、利用者が増えれば増えるほどサーバーの増強も必要ですし、それを専門でやられているサービスに外注してしまった方がメンテナンスや増強含めてやりやすいということもあります。
 「では、配信ツール側は何をしているのでしょうか?」
 答えは、「配信ツールの役割は、アプローチする配信対象者の情報と配信するタイトルやコンテンツの情報を配信サーバーに配信リクエストとして送信すること」をしております。例えば、Mail配信であれば送信元の情報、対象者のメールアドレスの情報とメール件名、及びメールコンテンツになりますし、モバイルアプリPush配信であれば送信元のサーバー接続情報、送信先トークン情報、通知タイトル、本文となります。このように多くの配信ツールでは、送信元情報、送信先情報、タイトル、コンテンツといった情報を配信サーバーに配信リクエストとして送信する部分を役割として担っております。
 最後に、各チャネルでの例を本当に簡単ですが、ご紹介します。

Mail配信

 Mail配信に関しては、多くのツールが世の中に出ているなと感じますし、Mail配信が機能の一つとして存在するようなツールでも、同じような仕組みが実装されている傾向が強いです。実際の流れとしては以下のようになります。

Mail配信の仕組み

 図からも分かるように、Mail配信の場合は、送信元のメールアドレス、送信先のメールアドレス、メールタイトル(件名)、メールコンテンツ(本文)を配信サーバーにリクエストを送信することで配信が実現される形になります。

LINE配信

 LINE配信に関しましても、Mail配信ほどではないですが、多くのツールが出てきております。仕組みは以下のようになっております。

LINE配信の仕組み

 図にあるようにLINE配信の場合は、LINEのchannel access token、送信先のLINEユーザーID、LINEコンテンツをLINE側にリクエストを送信することで配信が実現される形になります。*1

SMS配信

 SMS配信に関しては、以下のようになります。

SMS配信の仕組み

 SMSの場合は、分かりやすいですが電話番号が重要となりますので、送信元の電話番号、送信先の電話番号、SMSコンテンツをリクエストとして送信する形になります。

アプリPush配信(ブラウザ & モバイル)

 この2つはまとめてお話ししていければと思います。そして、他と比べて少しややこしいポイントがあります。それは、OSによる違いです。アプリケーションの構築においては、OSが異なることにより、開発環境も、利用ライブラリも、プログラミング言語も、と多くの違いが生じてしまっております。そのため、少しだけ配信の仕組みもややこしくなっております。但し、今までのツールと同様に考えられるのも事実であるため、その部分をちゃんと認識して覚えておいてください。では、実際にOS別のPush配信の仕組みを以下に挙げます。

Push配信の仕組み(OS別)

 分かりやすいですが、OSにより配信サーバー部分の役割を担うサービスが異なります。GoogleのサービスであるFirebase Cloud Messaging(FCM)を利用する場合には、配信ツール側からはFCM key(FCMの自社アカウントへのアクセス情報)、FCM token(送信先の識別子)、message(件名、コンテンツやその他の情報を含みます)をリクエストととして送信します。その一方で、AppleのサービスであるApple Push Notification Service(APNS)を利用する場合には、APNS key(APNSの自社アカウントへのアクセス情報)、APNS token(送信先の識別子)、message(件名、コンテンツやその他の情報を含みます)をリクエストととして送信します。
 さらにややこしいのはこの仕組みに関して、よくFCM経由でAPNS側のリクエストを実施することがあるということです。その場合には以下のような流れになります。

Push配信の仕組み(FCM経由)

 このケースも非常に多いのでしっかりと覚えておいてください。ちなみに、これを見ると疑問に思うと思いますが、「FCM keyとAPNS keyやFCM tokenとAPNS tokenはどのように紐づいているか?」というと、この辺は関連付けやFCM tokenのAPNS tokenへの変換等が実現できるため成り立つことになります。*2*3

さいごに

 今回は色んなPush型の顧客へのアプローチ方法の中でも、いくつかのデジタルマーケティングのツールでよく利用される配信系のチャネルの仕組みをご紹介していきましたが如何でしたでしょうか。とにかく最初に紹介した図のイメージがまずは非常に重要となりますので、それを覚えた上で各チャネルで必要な項目がどのように違うのかを理解するようにしてみてください!