昨日までは、メールの施策をメインにお話してきましたが、今日はどちらかというデジタル技術を勉強する上での考え方を伝えたいなと思っております。そして、分かりやすいかは分からないですが、広告を題材としてお話をしていきます。ただ、内容はWeb広告の細かい話というよりは本当に概念レベルの話なので、かなり薄いと思います。笑
目次
はじめに
前回までの紹介したメールマーケティングの話やマーケティングオートメーション、Web広告、といった様々なデジタル技術が世の中にあり、そして多くの方がビジネスの中でこういった技術に付き合わないとならない時代にもなってきたかと思います。一方で、そもそもマーケティングオートメーションの技術の概念やWeb広告の技術の概念を理解しようとするとなかなか難解で、勉強の始めたての段階で離脱する人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は少し難解に思われるWeb広告の技術を通して、デジタル技術をどう勉強するのかをお伝えしたいと思います。
Web広告の前提
では、どう考えていくかというと、そもそもWeb広告がない時代から考えたほうが圧倒的に理解がしやすいです。例えば、あなたが今江戸時代に、江戸の城下町に生きていて、団子屋さんを経営していることを想像してみてください!(江戸の城下町がどうなっているかは、私も詳細は知らないですが、たぶん写真のような感じです)
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団子屋さんでの経営の例
団子屋さんでの経営状態
では、この町で団子屋を営むことをよりリアルに考えてみましょう。
まず、団子の売価と原価に関して、団子1本は100円で売っていたとし、1本の団子あたりに掛かる原価は団子自体の原価と串の代金を合わせて、30円とします。

そして、1人の時給は700円とし、9時から18時の8時間営業(1時間は休憩)として、週2回は休業日を作ります。そうすると、20営業日程度となりますので、700円×8時間×20営業日=112,000円の人件費が掛かります。また、団子屋の家賃は1ヶ月に150,000円とします。そうすると、自分がオーナーとして、月1人分のバイトを雇って運営している場合に、自分以外にかかる経費は262,000円となります。
では、売上はどの程度上げる必要が有るでしょうか。月にx本の団子が売れるとすると、100xの売上と、70xの粗利が出ます。そして最終的には粗利から人件費と家賃を引き算したものが700,000円残っている状態にしたいとすると、70x-262,000=700,000を計算し、13,743本売り上げる必要が有ります。大体一人の人が3本買うとすると、4,581人に販売する必要が有ります。そして、それを1営業日に換算すると230人に販売する必要が有ります。ここまですごくリアルな数値を出してきましたが、ここまでは前提情報です。笑
では、1日に230人にどうアプローチすれば良いかということをリアルに考えていきましょう。ここがまさに団子屋で売上を目標通りにしっかりと上げるために必要な部分です。江戸時代の想定だったことに立ち返ると、店の前をどの程度の人が通り、その内の何人が店に入るのか、そして店に入った人の内の何人が団子を買うのでしょうか。ある日、オーナーのあなたは店を出店する場所の前を行き来する人数を数えてみました。そうすると、凡そ、1日に7,500人程度の人が店の前を行き来していることが分かりました。そして、店の前を通る人の内、店に入る人はその内の3%で225人、更にその中で商品を買う人は90%だったので203人でした。そのため、目標に対して、27人不足していることになります。
目標達成に必要な人数の引き上げ方法
では、目標達成のために、この27人をどう引き上げるべきかを考えていきましょう。改めて、今わかっている状態をまとめると以下になります。

ここまで何となく話してきましたが、月の目標を達成するために、日単位に分解したり、各プロセスに分解するということはこの団子屋の経営だけに留まらず、様々な業務においても重要となりますので、参考にしてみてください。そして、ここまで分解すると見えてくるのは、改善ポイントして、以下の3つをあなたは考えました。あくまでも自分のお店で団子を販売することを前提として考えます。
- 通行人数を外部からも取ってくる
- 通行人数から店内に入る人数の割合を増やす
- 店内に入った人の内、購入する人数を増やす
それぞれを考えたときに、具体的にどういったことをして、どれだけの費用が掛かり、どれだけの売上が上がるんだろうと考えることになるかと思います。
そこで、それぞれの施策で具体的に何が出来そうかを考えてみました。
- 通行人数を外部からも取ってくる
- 隣町や隣の大通りの掲示板などにチラシを出したり、看板を出す
- 隣町や隣の大通りなどに呼び子を派遣する
- 通行人数から店内に入る人数の割合を増やす
- 店の前に看板を出す
- 店の前に呼び子を配置する
- 店内に入った人の内、購入する人数を増やす
- 時間帯に応じて特価で販売する時間を決める
- 割引券を配布する
- プラス1本等の特典を付与する
他にも色んな選択肢があるかと思いますが、あなたは現状を鑑みたときに「通行人数から店内に入る人数の割合を1%増やす」ことに注力しようと、店の前に看板を出すことにしました。看板の設置は待ちに許可を取り、許可料として月に30,000円を納め、また看板の作成に90,000円を費やすことにしました。その結果として、「通行人数から店内に入る人数の割合を1%増やす」という目標を見事達成することが出来ました。そんなにうまい話はないですが、一旦フィクションなので、ご了承ください笑
ちなみに、「通行人数から店内に入る人数の割合を1%増やす」ことが出来たため、来店者数は1日に225人から300人なり、購入率自体は変わらないので270人が購入してくれる結果になりました。そうすると、1日の売上が270人×3本/人×100円/本=81,000円となり、20営業日(1ヶ月)で1,620,000円の売上を実現することが出来ました。また、1,620,000円の70%が粗利となるため、粗利は1,134,000円となり、人件費と家賃の262,000円を引くと872,000円、更に看板の許可料と作成費用の120,000円を引くと752,000円となりました。これによりあなたは目標を達成することが出来ました。
Web広告に置き換えるとどうなるのか
団子屋さんでの経営を例にとって、ここまでお話ししていきましたが、正直現代のオンラインショップの経営だったりと本質は変わらないです。だからこそ、上の例をWebに置き換えるとどうなるのかという観点で物事を捉えると良いかと個人的には思います。そして、それが難解なWebやデジタル技術の世界の本質を理解する上での助けとなると考えております。
具体的には、団子屋の例の中で考えた「通行人数」、「店に入る人数」、「購入する人数」の歩留まりというのは、Webの世界で考えれば「広告の表示人数」、「広告からサイトへの流入人数」、「CV数」という言った形で置き換えることが出来ますし、店の前に置く看板は現代風に言えば「ディスプレイ広告」に対応します。もっと言えば、売り子は「インスタグラマー」にもなりますし、もし店の前で団子の実食レポートをしていれば、「YouTuber」とやっていることは変わらないです。確かに具体的に取るべき戦術は変わるのかもしれませんが、本質的にやっていることは昔も今も変わらないということをちゃんと理解しておくことが重要です。
さいごに
今回は団子屋の例を元に、Web広告に該当するものをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。正直、団子屋の話ばかりになってしまいましたが、重要なことは、テクノロジーが発展した現代においてもやっていることの一つ一つの本質は昔とさほど変わっていないということです。これは今回紹介したWeb広告に限った話ではなく、Webサーバーでのリクエストとレスポンスのやり取りなども昔は人間がやっていた作業をテクノロジーで置き換えたと思って、一つ一つの処理を考えると意外と理解がしやすかったりします。
だからこそ、テクノロジーを理解しようと勉強を始めた際に、よく分からないと手を止めてしまうのでなく、今回の記事でご紹介したような例などを自分なりに考えて物事を理解するようにしてみてください。