DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

最近は、本屋に行けばデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の本がずらずらと並んでおりますが、DXとはそもそも何なのでしょうか?

そんなDXに関して、何回かに分けて、お話をしたいと思います。

 

目次

はじめに

まず、DX(Digital Transformation)とは、デジタルテクノロジーをビジネスのありとあらゆる領域に統合すること、ユーザーへの価値提供の形を根本的に変えていくものです。そして、多くの企業はこの大変革について行かねば、淘汰されるリスクさえあります。

「うちの会社には、関係ないでしょ?」と思われる方も多いかもしれませんが、この社会でビジネスをしている大小関わらず全ての企業に不可欠なものになってきています。その一方で、「では、DXを推進していくために何をすればいいのか?」、「何が正解なのか?」と問われれば、それに回答を持っているビジネスマンや企業の担当者が少ないのも事実ではないでしょうか。筆者もまだ明確な回答があるわけではありませんが、DXの分野で培ってきたきた知見を今回は共有していきたいないと思います。

なぜDX?

では、なぜ近年DXは注目を集めて来たのでしょうか?

少し遡りますが、2000年にIT革命と言われた大きな変革がありました。ちょうどそのタイミングで、多く企業がWebの世界に流入し、GAFAと言われる企業が大きくなり始めたのもちょうどその頃です。日本でもホリエモンなどの起業家が台頭し始めたタイミングでもありました。その変革前は、多くの消費者は何かを買おうと思えば、お店に足を運び店員のおすすめを聞く、就活や転職をしようと思えば周りの人間や大学から情報を集めるといった形で極属人的な情報収集しか出来なかった状態でした。それが、IT革命が始まり、wikipediaといった情報媒体(当時は正しい情報もあまり載っていなかったですが…笑)や2005年にはyoutube、そして多くのメディアが立ち上がり、属人的だった情報がwebサイトを探せばほとんどが手に入るような世界が生まれました。その情報が集まってきた世界の中で必要となってきたことといえば、取得した情報を自社のビジネスの改善に利用しようといった、いわゆるデジタル化と言われる転換です。今では当たり前ですが多くの企業は自社のWebサイトを持ち、顧客情報などの多くの情報を紙ベースのものから、Excelやデータベース形式の状態での情報保持に切り替えていき始めたものこの21世紀の最初の15年程度で起こった変化です。

そして、徐々に多くの企業のビジネスはデジタルの領域が無視出来ないものとなってしまったのです。そうなると、企業はビジネスにおいて、契約書の電子管理や勤怠管理、名刺管理といったバックオフィスの業務などの参入障壁の低い領域からソフトウェアに切り替え、その後顧客へのアプローチを担うマーケティング領域などにもソフトウェアを利用し始めていきます。

このデジタルテクノロジーが蔓延ったビジネスをDX化されたビジネスと呼ぶようになっていくのです。そして、この変革は2020年に始まったコロナ禍により一気に加速することになりました。特に、バックオフィス系のツールは、多くの社員を抱える企業において、必要不可欠なものになったのではないでしょうか。お打合せをするとなればzoomやteamsを使い、社内のコミュニケーションも従来のメールからteams、slackといったツールに一気にシフトすることになりました。

ここまでは、DXに至るまでのビジネスにおけるデジタルテクノロジーの介入の流れをお話ししてきましたが、このDXにおける成功とはなんでしょうか?

DXの成功とは?

「そもそも何故DXを推進しようとしているのでしょうか?」

多くの企業ではこの問いに回答するということを忘れて、DXをただ推進することだけを目的にツールの導入を進めている気がします。「DXを推進すれば、売上が上がる?」と言われれば、そういったケースもあるだけ実際には異なると筆者は思います。本来的に一番稼げるのは、属人的に売上を上げているビジネスマンだと思いますが、その優秀なビジネスマンの行動を分析した結果、「前回の購入から1日後にはお礼」、「前回購入から20日経ったら次の購入促進」、「4回購入して貰えば、こっちからは定期的なメッセージを送らなくても定着する」といった行動をしているのであれば、それを顧客の情報や購入の情報といったデータを活用して、再現すればいいのです。前提、当たり前ですが、優秀なビジネスマンは一人一人に違うメッセージを送るとしても、再現する時にはその属人性を排除して、メールやLINEなどで顧客にアプローチしていきます。いわゆる、マーケティングオートメーションが重要となるのは、この思考をした人間がいたからになります。一方で、今多くの企業はマーケティングオートメーション一個取っても、他社の真似をするばかりでその背景まで理解している担当者も少ないのではないでしょうか。

ただ、このマーケティングオートメーションの例から分かるDXの本質もあります。それは、優秀なビジネスマンが実施していたことをデジタルテクノロジーにより質こそ少し下がれど再現出来るということです。その結果として、売上は上げやすくなるのは当然ですが、最も大事なことはこの属人性を排除した世界観を作ることで、従業員の多くの業務の無駄が省かれるということです。

他の例を挙げると、多くの企業で取り組んでいる分析業務がまさにそうだと思います。多くの企業の担当者は、システムからデータの落とし込みをエンジニアに依頼して、Excelデータをもらい、そのデータからExcelのSUMIFやVLOOKUPといった関数を駆使することでやっと見たい数値が見られるようになってきます。その過程において、顧客数やトランザクションの大きなサービスを実施している場合にはExcelではそもそもファイルが開けず、SQLといったプログラミング言語を使ってデータを扱うことになります。一方で、この過程を実際に毎日やろうとするとそれだけで、3時間、4時間といった多くの時間を割いてしまうことになるのも事実です。そんな時にSQLの処理を日時で実行して、グラフに落とすようなBIツールを導入すれば、その3,4時間といった工数が浮き、施策を実施したり、施策の効果を考察する時間が増えたりするのです。

先ほどのマーケティングオートメーションの例もそうですが、このBIの例でも企業がDXにより実現出来ている一番直接的なものは、「無駄な工数の削減」や「労働生産性の向上」なのです。その副産物として、「売上の向上」が伴ってくるのです。そうすると、今の社員数より人数が減った状態でも同じ業務量を維持でき、同じ売上を維持できるといったことを実現できるのです。

 だからこそ、勘違いして欲しくないのは、企業がDXによりより実現できることはあくまでも「労働生産性の向上」であるということを理解して頂いた方が良いと考えます。その認識がある企業が今まで色んなDXのプロジェクトに携わる中でも成果を上げている企業だと感じてます。

さいごに

今回は、DXに関して、つらつらとお話ししてきましたが、どうだったでしょうか。この20年間を振り返るだけでも業務量は2,3倍まで増えていると思いますが、それを支えてきたのはデジタルテクノロジーであることは間違いないと思います。そして、今後さらにその流れは加速化していきます。Web3.0やメタバースといったキーワードも台頭してきますが、そういった新技術により、現在よりも労働生産性は上がり、人々が仕事において出来ることが増えていくはずです。自分や企業が出来る仕事の幅が広げられるようにこのDXの捉え方を是非変えてみてください。

また、次回以降でデータの持ち方やデジタルマーケティングに関してお話ししていきます。